烏薬順気散(ウヤクジュンキサン) |
生薬構成 |
烏薬ー2.5 陳皮ー2.5 桔梗ー2.5 麻黄ー2.5 白彊蚕ー2.5 川キュウー2.0 乾姜ー2.0 枳実ー2.0
白シー1.5 甘草ー1.5 生姜ー1.0 |
烏薬順気散原文 |
【太平恵民和剤局方】 (治諸風)
治男子婦人、壹切風氣攻チュウ四肢、骨節疼痛、遍身頑麻、頭目旋暈、及療タンタン、語言蹇澀,筋衣脉拘攣、又治脚氣、歩履艱難、
脚膝軟弱、婦人血風、老人冷氣上攻、胸臆兩脇刺痛、心腹膨脹、吐瀉腸鳴
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烏薬順気散解説 |
この漢方処方は「太平恵民和剤局方」や「万病回春」に見られ、「太平恵民和剤局方」では表証や気の鬱滞から起こる身体の痛み、
骨関節痛、身体の麻痺、シビレ、めまい、脳血管障害、言語障害、顔面の麻痺に用います。又脚気、歩行困難、オ血が原因の麻痺、
老人の冷えからくる下半身障害にも効果があります。と記載されています。
浅田宗伯先生や矢数道明先生は気の鬱滞が原因の肩こりに用いて効果があったと記載しており、万病回春には烏薬順気散に
木瓜を加えて「回首散」と名づけて首が回らない、寝違えに用いると良いと明記されています。
百々鳩窓の「梧竹楼方函口訣」には「軽傷の場合は用いるが、重症の場合は効果が無いので用いてはいけない。」とあり、
目黒道琢の「餐英館療治雑話」には「羌活、防風(風薬)、附子(鎮痛薬)を加えて用いると、もっと効果があります。」と記載されています。
大塚敬節先生は、捻挫、筋の筋違え、手枕の痛み等にも効果があると明記されています。 |
烏薬順気散適応症 |
@ 実証から中間証で表証や気の鬱滞、日常生活時の事故から起こる疾患に用いる。
A 脳血管障害の疾患でも用いることが出来るが、百々鳩窓の「梧竹楼方函口訣」には「軽傷の場合は用いるが、重症の場合は効果
が無いので用いてはいけない。」と記述しています。
B 百々鳩窓の「梧竹楼方函口訣」には日常生活における床の踏み外し、捻挫、ぎっくり腰、筋違えなどにも用いますと記載されています。
C 筋肉痛、骨関節の痛みにも効果があります。
D 以上の症状から烏薬順気散の適応疾患は
・脳血管障害、言語障害
・下半身麻痺、顔面神経麻痺
・肩こり、五十肩、手足の痺れ
・捻挫、筋違え、
・ぎっくり腰、関節痛などに適応されます。 |
各種生薬の役割 |
万病回春によると、烏薬順気散に含まれる川キュウは鎮痛、気の鬱滞の除去作用があり、麻黄は関節痛を和らげ、麻黄と川キュウが
組み合わされる事により鎮痛、身体麻痺の緩和、気の鬱滞による神経痛、関節痛、筋肉痛の緩和効果があると記載されています。
烏薬は鎮痛、陳皮、枳実は健胃作用があり、烏薬、陳皮、枳実が組み合わされる事により言語障害の改善、胃腸疾患に効果があると
記載されています。
白シは鎮静、鎮痛効果があり、白彊蚕は鎮静効果があり、白シと白彊蚕が組み合わされる事により、口眼歪斜、顔面神経麻痺に
効果があると記載されてます。
甘草は鎮痛、ケイレンを抑える作用があり、桔梗は痰の切れをよくして胸のつかえを取り、大棗は鎮痛、他の生薬の調和を図り、
生姜、乾姜は身体を温め、気、血行促進を良くします。
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参考処方 |
実証・・・・黄連解毒湯、三黄瀉心湯、痿証方、大柴胡湯、(大)続命湯など
中間証・・抑肝散、小柴胡湯、(小)続命湯、烏薬順気散など
虚証・・・・八味地黄丸料、黄耆桂枝五物湯 |
烏薬順気散の服用方法 |
煎じる烏薬順気散の服用方法
煎じる烏薬順気散の服用方法ですが1日分(1袋)をアルミ鍋又はガラス鍋、ヤカンに入れて、そこに水600ccを入れます。
水と煎じ薬が入った容器を弱火で約30分ほど煎じます。
煎じ終われば漢方薬が入った袋を取り出してから滓を漉し、1日3回、出来れば人肌程度の温かい煎じ液を食前(食事の60分前)又は
食間(食事と食事の間、食後約2時間)に服用してください。
(漢方薬によっては冷たくして服用する場合もあります。胃腸の調子が良くない場合は食間服用をおすすめします。)
「味が苦手」、「飲みにくい」場合は蜂蜜などの甘味料を加えても結構です。
一般医薬品や医師より処方された薬を服用されている場合は60分以上間を空けてから服用してください。 |
注意事項 |
下記の人は絶対服用しないでください。
@ 生後3ヶ月未満の乳幼児には絶対服用させないでください。
注意事項ですが
(1)・・・次の人は服用前に医師又は薬剤師に相談すること
@・・・血圧の高い人又は高齢者。
A・・・心臓又は腎臓に障害のある人。
B・・・むくみのある人。
C・・・今までに薬により発疹・発赤、かゆみ等を起こしたことがある人。
D・・・妊婦又は妊娠していると思われる婦人。
E・・・医師の治療を受けている人。
(2)・・・服用に際して、次のことに注意すること
@・・・定められた用法・用量を厳守すること。
A・・・小児に服用させる場合には、保護者の指導監督のもとに服用させること。
B・・・煎じ液は必ず熱いうちにかすをこし去ること。
C・・・本剤は、必ず1日分ずつ煎じ、数日分まとめて煎じないこと。
(3)・・・服用中又は服用後は、次のことに注意すること
@・・・本剤の服用により、発疹・発赤、かゆみ等の症状が現れた場合には、服用を中止し、医師又は薬剤師に相談すること。
A・・・本剤を服用することにより、尿量が減少する、顔や手足がむくむ、まぶたが重くなる、手がこわばる、血圧が高くなる、頭痛等の症状が現れた
場合には、服用を中止し、医師又は薬剤師に相談すること。
B・・・ 1ヶ月位服用しても症状の改善が見られない場合には、服用を中止し、医師又は薬剤師に相談すること。
C・・・長期連用する場合には、医師又は薬剤師に相談すること。
(4)保管及び取り扱いの注意事項
@・・・本品は天然物(生薬)で性質上吸湿しやすいものがあります。そのため保存には十分ご注意ください。保存が悪いとカビ、虫害等の発生する
原因になることがあります。
A・・・開封後は直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい場所に保管してください。
B・・・本品には品質保持の目的で脱酸素剤を入れておりますので、一緒に煎じたり、食べたりしないようにご注意ください。
C・・・幼児の手の届かない所に保管してください。
D・・・他に容器に入れ替えないで下さい。(誤用の原因になったり品質が変わる場合があります。)
E・・・煎じ液は腐敗しやすいので、冷暗所又は冷蔵庫等に保管し、服用する時にに再加熱してから服用してください。 |
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