温胆湯(ウンタントウ)
生薬構成
半夏 6.0 茯苓 6.0 陳皮 2.5 竹ジョ 2.0 枳実 1.0 甘草 1.0 生姜 1.0

(@加味温胆湯・・・黄連1g、酸棗仁1〜3gを加える。)

(A加味温胆湯・・・遠志、玄参、人参、黄連各2g 地黄、酸棗仁各3gを加える。)

(B万病回春 加味温胆湯・・茯苓、酸棗仁、半夏各3.5g 人参、白朮、麦門冬、枳実、竹ジョ、大棗各3g 当帰、地黄、甘草、黄連、山梔子各2g 
生姜1g)

(C万病回春 加味温胆湯・・半夏4g 遠志、酸棗仁、熟地黄、五味子、人参各3g 大棗、竹ジョ、茯苓、枳実、陳皮各2g 甘草、生姜各1g)
温胆湯原文
【千金方】
千金温胆湯・・・半夏5g 陳皮3g 甘草、竹ジョ各2g 枳実、生姜各1g
治大病後、虚煩不得眠、此膽寒故也、宣服温膽湯方。

【三因極一病証方論】 (驚悸門)
心胆虚怯事ニ触レテ驚キ易ク、或ハ夢寐不祥或ハ異象ニ惑ヒ、遂ニ心驚胆懾シ、気鬱シテ涎ヲ生ジ、涎ト気ト博チ、変ジテ諸証ヲ生ジ、
或ハ短気悸乏、或ハ復タ自汗、四肢浮腫、飲食味ナク、心虚煩悶、坐臥安カラザルヲ治ス。    (参考文献 矢数道明著作「漢方処方解説」)

勿誤薬室方函
治大病後、虚煩不得眠、此膽寒故也。本無茯苓、今従三因、或加麦門冬、人参、或加黄連、酸棗仁

勿誤薬室方函口訣
此方ハ駆痰ノ剤也。古人淡飲ノコトヲ胆寒ト云フ、温痰ハ淡飲ヲ温散スル也。此方ハ霊枢流水湯ニ根抵シテ、其力一層優トス。
後世ノ竹ジョ(ジョ=たけかんむり+如)温胆、清心温胆等ノ祖方也。
温胆湯解説
この漢方処方は「千金方」、「三因方」「勿誤薬室方函口訣」に見られ、「千金方」では「大病後に疲労感がある、又は胃が悪いなどの
症状を併発している不眠症に用います。
不眠の原因は胆が胃内停水により冷えて、精神不安を起こした為です。この場合は胆を温める「温胆湯」を用いなさい。」とあります。

「勿誤薬室方函」では「千金温胆湯には茯苓がありません。私は三因方の温胆湯を用います。私はは三因方温胆湯に麦門冬、
人参を加えます。又、他には三因方温胆湯に黄連、酸棗仁を加える事あります。」とあり、今現在は温胆湯に黄連、酸棗仁を加えた
物を「加味温胆湯」と呼び、漢方処方として用いています。

「三因方」では「精神と胆が虚弱になり、物事に驚きやすく、嫌な夢を見たり、幻に惑わたりして遂に精神は驚き、胆は恐れだす。
気鬱で涎を流したり、精神を病んだり、自然に汗が出たり、浮腫が出たり、食欲はなく、気分が高ぶり落ち着かずに、ただ横になりたい
状態を治す。」とあります。

余談・・・胆を辞書で引くと「胆力。気力。精神力」とあり、胆がつく言葉では
「胆が据(す)わる」⇒物事に恐れたり驚いたりせず、大胆になる。きもがすわる。
「胆を練る」⇒物事に動じないように、精神力を鍛える
「胆を奪う」⇒人を驚かしてきもをつぶさせる
「胆気」 ⇒どんなことをも恐れない気力。度胸。きもったま。
「胆力」⇒事にあたって、恐れたり、尻ごみしたりしない精神力。ものに動じない気力。

とあり、古人は「胆の役割は恐怖、不安などの精神活動を司る器官」と考えられていました。
「千金方」では「胆に寒(停水)が加われば精神不安を起こす」と解釈され、此漢方薬は、胆を温めて精神不安を取り除く意味で
「温胆湯」と名付けられました。

「勿誤薬室方函口訣」には温胆湯は水毒を取り除く処方で、古人は淡飲(痰飲)を胆寒と言い、胆を温めると痰飲を取り除く作用があります。
温胆湯は後の竹ジョ温胆湯、清心温胆湯などの類似処方があります。

参考・・・清心温胆湯は(半夏、茯苓、陳皮、白朮各3g 当帰、芍薬、川キュウ、麦門冬、遠志人参、竹ジョ各2g 黄連、枳実、香附子、
菖蒲、甘草各1g)で構成しています。
温胆湯適応症
@ 温胆湯は(ニ陳湯の加減方+枳実、竹ジョ)か(茯苓飲去白朮、人参加半夏、甘草、竹ジョ)で構成されており、平素から胃腸が
弱い虚証の不眠症に用います。

A 胃には停水音が見られ、腹部にはあまり緊張感が無く、動悸が見られる場合もある。

B 大病後、神経過敏状態の不眠にも用います。

C 神経症状は気鬱、過敏、驚愕、神経質、食欲不振、息切れなどが見られます。

D 睡眠の状態は気分のたかぶりで寝つきが悪く、熟睡感が無く、夢を多く見る場合が多い。

E 以上の症状から温胆湯の適応症は
  ・不眠症
  ・不安症、神経症
  ・胃下垂症
などに適応されます。
各種生薬の役割
温胆湯は上記で説明したように、(二陳湯の加減法+枳実、竹ジョ)か(茯苓飲去白朮、人参加半夏、甘草、竹ジョ)で構成されており、
二陳湯、茯苓飲に含まれる半夏、茯苓、陳皮、乾姜は全て健胃剤で半夏、茯苓は胃内停水を取り除く作用があり、陳皮、枳実は健胃
作用があり、乾姜は胃を温め、胃内停水を取り除きます。
甘草は胃痛を静め、竹ジョは嘔吐を抑えます。

一般的には温胆湯に黄連、酸棗仁を加えた加味温胆湯をよく用います。
黄連には健胃、鎮静作用があり黄連を配合した処方には不眠解消作用があります。
又、酸棗仁にも鎮静、睡眠誘発作用があります。
参考処方
実証・・・・黄連解毒湯

中間証・・竹ジョ温胆湯、加味温胆湯など

虚証・・・・帰脾湯、加味帰脾湯、酸棗仁湯、甘草瀉心湯など
温胆湯の服用方法
煎じる温胆湯の服用方法
煎じる温胆湯の服用方法ですが1日分(1袋)をアルミ鍋又はガラス鍋、ヤカンに入れて、そこに水600ccを入れます。
水と煎じ薬が入った容器を弱火で約30分ほど煎じます。
煎じ終われば漢方薬が入った袋を取り出してから滓を漉し、1日3回、出来れば人肌程度の温かい煎じ液を食前(食事の60分前)又は
食間(食事と食事の間、食後約2時間)に服用してください。
(漢方薬によっては冷たくして服用する場合もあります。胃腸の調子が良くない場合は食間服用をおすすめします。)
「味が苦手」、「飲みにくい」場合は蜂蜜などの甘味料を加えても結構です。

一般医薬品や医師より処方された薬を服用されている場合は60分以上間を空けてから服用してください。
注意事項 
下記の人は絶対服用しないでください。
@ 生後3ヶ月未満の乳幼児には絶対服用させないでください。

注意事項ですが
(1)・・・次の人は服用前に医師又は薬剤師に相談すること
@・・・血圧の高い人又は高齢者。
A・・・心臓又は腎臓に障害のある人。
B・・・むくみのある人。
C・・・今までに薬により発疹・発赤、かゆみ等を起こしたことがある人。
D・・・妊婦又は妊娠していると思われる婦人。
E・・・医師の治療を受けている人。

(2)・・・服用に際して、次のことに注意すること
@・・・定められた用法・用量を厳守すること。
A・・・小児に服用させる場合には、保護者の指導監督のもとに服用させること。
B・・・煎じ液は必ず熱いうちにかすをこし去ること。
C・・・本剤は、必ず1日分ずつ煎じ、数日分まとめて煎じないこと。

(3)・・・服用中又は服用後は、次のことに注意すること
@・・・本剤の服用により、発疹・発赤、かゆみ等の症状が現れた場合には、服用を中止し、医師又は薬剤師に相談すること。
A・・・本剤を服用することにより、尿量が減少する、顔や手足がむくむ、まぶたが重くなる、手がこわばる、血圧が高くなる、頭痛等の症状が現れた
場合には、服用を中止し、医師又は薬剤師に相談すること。
B・・・ 1ヶ月位服用しても症状の改善が見られない場合には、服用を中止し、医師又は薬剤師に相談すること。
C・・・長期連用する場合には、医師又は薬剤師に相談すること。

(4)保管及び取り扱いの注意事項
@・・・本品は天然物(生薬)で性質上吸湿しやすいものがあります。そのため保存には十分ご注意ください。保存が悪いとカビ、虫害等の発生する
原因になることがあります。

A・・・開封後は直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい場所に保管してください。

B・・・本品には品質保持の目的で脱酸素剤を入れておりますので、一緒に煎じたり、食べたりしないようにご注意ください。

C・・・幼児の手の届かない所に保管してください。

D・・・他に容器に入れ替えないで下さい。(誤用の原因になったり品質が変わる場合があります。)

E・・・煎じ液は腐敗しやすいので、冷暗所又は冷蔵庫等に保管し、服用する時にに再加熱してから服用してください。
    
ご相談・ご質問
←こちらをクリック
最近お客様より「相談や注文をしたが返信が無い」と御叱りをいただきます。当店は当日又は翌日には必ず返信をしております。

もし、2日、3日待ってもご返事がない場合はお手数ですがもう一度お問い合わせください。必ず返答はいたします。

当店からの返信メールが届かないお客様へ
当店からお客様へ返信したメールがお客様の迷惑メールフォルダにある事例が多々あります。

「返信が来ない。」と思われたらお客様の迷惑メールフォルダを見てください。

当店のメールがお客様の迷惑メールフォルダにございましたらご面倒ですが別のアドレスで当店へ返信をお願いします。
やなぎ堂薬局 住所
郵便番号 790-0014
愛媛県 松山市 柳井町 1-14-1 やなぎ堂薬局 柳井町店 
電話番号/FAX番号 089-921-9401
トップページ
←こちらをクリック
Copyright(C)2004-2013 yanagidou All Rights Reserved