サネブトナツメ 
果実
 
 酸棗仁 種子
 
 酸棗仁 粉末
 
酸棗仁 さんそにん サンソニン
和名、植物名
核太棗 実太棗 さねぶとなつめ サネブトナツメ スキナツメ
生薬名
酸棗仁 さんそうにん サンソウニン
学名
Zizyphus jujuba
分布
核太棗(さねぶとなつめ)はナツメ属ーくろうめもどき科に属する植物で、ヨーロッパ東部や中国東部、中国南部の日当たりが良く
乾燥した土地に分布し、日本では庭先に植えられている落葉低高木の植物です。

サネブトナツメとナツメの違いですがサネブトナツメが原種で、トゲが多いサネブトナツメを品種改良してトゲが無い、
あっても小さいナツメが出来ました。
サネブトナツメは種子を生薬として使用し、ナツメは果実を生薬として使用します。

サネブトナツメは種子だけが大きく発達した植物ですので、果肉が大きくなったナツメのように食べることは余りありません。
果実は酸味が強く食用には適しておりません。酸味が強い棗という意味で「酸棗」と言います。
和名の核太棗の名前の由来は「ナツメの核(さね)が大きく太い棗」なので「核太棗(サネブトナツメ)」と言われます。


余談・・・近年、サネブトナツメは消費量の上昇、天候不良や投機の対象などが原因で価格の上昇と資源確保が難しい
生薬になっています。
そこで、サネブトナツメ(生薬名 酸棗仁)の近縁種のナツメ(生薬名 大棗仁)の種子が代役になるかの研究が進んでいます。

酸棗仁はは神農本草経の上品に記載されており、内容として
味酸平。生川澤。治心腹寒熱邪結気。四肢酸疼濕痺。久服安五藏。輕身延年。
と書かれています。

日本に伝わった時期は享保年間と言われ、明治10年発行の「小石川植物園草木目録」によると
享保12年(1727年)に中国から輸入されたものと記載されています。
その当時の木は小石川植物園にあります。
(別の説では平安時代以前に薬用目的で渡来したと指摘する説もあります。万葉集にもナツメを詠んだ歌集があります。)

酸棗仁は江戸時代に活躍した古方派の漢方医吉益東洞が書いた薬徴に書かれており、薬徴によると
薬徴・・・・「胸隔煩燥シ、眠ルコト能ワザルヲ主治スル也。
と書かれています。

他にも酸棗仁は明治時代に活躍した折衷派の漢方医浅田宗伯が書いた古方薬議のも書かれており、古方薬議によると
古方薬議・・・・「味酸平。心腹寒熱シ、邪結ボレ、気聚マリ、煩シテ眠ルコトヲ得ズ、臍のノ上下痛ミ、虚汗久シク洩ルルヲ主ル。
と書かれています。

余談・・・「棗(ナツメ)」の漢字には「朿(トゲ)」が上下にあります。ナツメの木にはトゲがいたる所ににあるのでこの漢字が
あてがわれたと言われます。
ちなみに「朿」が横に並ぶと「棘(トゲ)」になり、棘のあるナツメの木が横に並んで茂っている姿を表しています。

他に「朿」がある漢字は「人を刺す。」、「対策を練る。」、「策士策に溺れる」などがあり、あまり良い気持ちにならない漢字です。
特徴・形態
サネブトナツメの特徴ですが樹高が約2メートルぐらいに成長する木やあまり成長しない木もあります。

葉は互生し単葉で葉の幅は約1センチから3センチぐらい、葉の長さは約3センチから7センチぐらいあり、葉には鋸歯があります。
葉は紙質で葉の表面は光沢があるが、裏面は平滑です。葉の表面には3本の脈のような筋があります。

枝は暗褐色で枝の節が膨らんでいます。その節から3本ぐらいの新しい枝が伸びます。
枝には托葉が変化した長さが約3センチぐらいの刺があります。

花は夏ごろに集散花序に大きさが約5ミリぐらいの黄色の小さな花を咲かせます。花は開花から約14日ぐらい咲きます。

果実は球形又は楕円形で緑色から赤褐色に熟します。果実は約2センチぐらいで、ちなみにナツメは約5センチぐらいになります。

サネブトナツメの果実はナツメに比べて果肉が少なく痩せているので食用には不向きですが、種子はナツメより大きく成長します。

種子ですが長さが約1センチぐらい、幅は約5ミリぐらい、厚みは3ミリぐらいで種子の正面は赤褐色で艶があります。
成分
サネブトナツメの種子に含まれる成分としてジジベオシド、ベツリン酸、エベリンラクトン、ジュジュボシドA、ジュジュボシドBなどが
含まれております。

ジジベオシドには鎮静作用があります。

生の種子には興奮作用と鎮静作用があるが、種子を炒ってしまうと鎮静作用は無くなると言われます。(吉益東洞の説)
(炒った酸棗仁を「炒棗仁」と言います。)
使用部位
サネブトナツメの種子(生薬名 酸棗仁(さんそうにん サンソウニン))

炒った酸棗仁を「炒棗仁」と言います。
酸棗仁を炒ると不眠症状改善効果が高まると言う説を唱える人もいます。
採取時期と管理・保存方法
サネブトナツメの採取時期ですが秋に成熟した果実を採取して、果実から果肉と殻を取り除いて種子を取り出してから
水洗いを行い、日干し乾燥させます。
薬効、服用方法
酸棗仁は日本薬局方によると漢方処方用薬である。精神安定作用や止汗を目的とした処方に配合されている。

感冒や咽頭炎を治す処方に配合されている。

他に酸棗仁を服用すると鎮静作用、催眠作用、興奮作用などがあり気力低下が原因の胃腸熱感、神経衰弱、不眠、
不安を伴う不眠、煩燥が原因の不眠、ストレス性不眠、ストレス性健忘症、動悸などに用いられます。

酸棗仁を煎じる場合は
酸棗仁約5グラムから10グラムを水600ccから800ccの中に入れて弱火で15分から20分程煎じて煎じ終われば薬草は
取り除き、1日数回に分けて服用します。

酸棗仁と他の薬草(艾葉、ゲンノショウコ、重薬など)と一緒に煎じて服用しても良いです。

酸棗仁の粉末の場合は
酸棗仁の粉末を1回量約1グラム〜2グラムを目安に水またはぬるま湯で1日数回服用するか、お湯に混ぜて服用してください。
(小さじ半分ぐらいが約1グラムです。)

「粉末が咽喉に引っかかる」、「味が苦手」などの支障がある場合はオブラードに包んで服用しても結構です。
酸棗仁の薬用酒  
酸棗仁を薬用酒として服用するとストレス性不眠、神経衰弱などに効果があります。

酸棗仁の薬用酒の作り方ですが
酸棗仁・・・100グラム
氷砂糖・・・100グラム又はグラニュー糖100グラム
ホワイトリカー・・・1.8リットル
(他に色々な薬草を混ぜてミックス薬用酒を作っても良いです。枸杞子や熟地黄などと一緒に漬けても良いです。)

これらの品を容器に入れて約3か月ほど直射日光の当たらない場所で熟成させます。

熟成させる時に出来るだけ空気に触れないようにしっかり密封して下さい。密閉できる容器を使用して下さい。
空気に触れると味が変わる恐れがあります。

30日に1回は中身を2回から3回程振って均等に成分が出るようにしてください。
人によっては味の好みが異なりますので、30日に1回は味見をしてお好みの味であれば薬草を引き上げても結構です。

3か月ほど熟成させたら木綿の布かコーヒー用の濾過紙で濾過しながら薬草を取り出し、杯1杯を目安に服用します。

飲みにくい場合は蜂蜜や水飴、砂糖で味を調えても結構です。 

枸杞子や熟地黄などと一緒に浸けて熟成させ、服用すればより効果が高まります。
酸棗仁と他の生薬との組み合わせ 
酸棗仁+遠志・・・酸棗仁と遠志を組み合わせると心神不安が原因の健忘症、不眠に効果があります。
(漢方処方・・・帰脾湯、加味帰脾湯など)

酸棗仁+知母+甘草・・・酸棗仁と知母と甘草を組み合わせると胃腸に潤いを与えて熱を取り除き、煩燥が原因の不眠を
解消します。
(漢方処方・・・酸棗仁湯)
 
酸棗仁を含む漢方処方
帰脾湯

加味帰脾湯


酸棗仁湯

温胆湯

加味温胆湯

など
参考資料
神農本草経−上品
味酸平。生川澤。治心腹寒熱邪結気。四肢酸疼濕痺。久服安五藏。輕身延年。


薬徴
胸隔煩燥シ、眠ルコト能ワザルヲ主治スル也。

古方薬議
味酸平。心腹寒熱シ、邪結ボレ、気聚マリ、煩シテ眠ルコトヲ得ズ、臍のノ上下痛ミ、虚汗久シク洩ルルヲ主ル。
その他
特になし
参考文献
北驫ルー原色牧野和漢薬草大図鑑
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