茅 チガヤ 花穂
チガヤ 花穂
茅根 刻み
茅根 刻み
茅根 ぼうこん  ボウコン
和名、植物名
茅 茅萱 千茅 血茅 ちがや チガヤ ふしげちがや フシゲチガヤ 茅花 つばな ツバナ
生薬名
茅根 ぼうこん ボウコン
学名
Imperata  cylindrica  var koenigil
分布
茅はチガヤ属ーいね科に属する植物で、分布地として北海道から九州などの日本各地とアジア各国、アフリカなどの
7日のあたる原野や河原、草地や道ばたなどで群がって群生する多年草の植物です。

千茅の名前の由来は茅が千株以上に沢山自生している様子をこう言います。
他に血茅の名前の由来は咲いたばかりの花穂に血のような赤い花穂が見られるのでこう言います。

茅根は古代中国の神農本草経の中薬(中品)に記載されており、内容として 
一名主労傷虚羸、補中益気、除オ(※1)血、血閉、寒熱、利小便。其苗、主下水。一名蘭根、一名茄根。生山谷、田野。
と書かれています。
(※1 オ=ヤマイダレ+於)

茅は万葉集にも数多く詠われており、万葉集では「浅茅(あさじ)又は浅茅原(あさじはら」と詠まれています。
万葉集では16首の詠まれており、全部を書くのは時間と手間がかかるので数首を書かせていただきます。

淺茅原 曲曲二 物念者 故郷之 所念可聞」・・・・詠み人 大伴旅人
「浅茅原、つばらつばらに、もの思へば、古りにし里し、思ほゆるかも」

朝茅原 小野印 空事 何在云 公待」・・・・詠み人 柿本人麻呂
「浅茅原、小野に標結ふ、空言を、いかなりと言ひて、君をし待たむ」

吾君尓 戯奴者戀良思 給有 茅花手雖喫 弥痩尓夜須」・・・・詠み人 大伴家持
「我が君に、戯奴は恋ふらし、賜りたる、茅花を食めど、いや痩せに痩す」

江戸時代には春先の頃にまだ葉の出ない前に咲く褐色の花穂を「茅花 ツバナ」と言い、ツバナを舐めると甘みを感じます。
このツバナを売り歩く人がいて、この人を詠んだ川柳があります。
川柳・・・・「ツバナ売よくよく見れば女の子

日本には昔から家屋の屋根にチガヤを葺いた「茅葺(かやぶき)の屋根」があります。
(茅葺はチガヤだけでは無く、ススキ、葦なども茅葺の材料に用いられました。)

花穂は「茅花(つばな)」と言い、火打ち石で取った種火を茅の花穂に移す「火口(ほくち)」にしました。

日本全国に「茅場(カヤバ)」と言う地名があります。
各地域に残る茅場の地名は茅葺屋根に使用する茅を刈る場所を指します。
東京都中央区日本橋茅場町は今では考えられませんが、家康が三河から江戸に来た当時は茅が茂る湿地地帯で、
その茅の販売を行う商人が住んでいたからこの地名で呼ばれるようになりました。

茅は昔から6月の晦日に「夏越し(なごし)の輪くぐり」、「茅輪(ちのわ)くぐり」、「輪越祭(わごしまつり)」と言われる行事に
用いられており、茅で作った輪をくぐると夏の無病息災と家内安全の祈願が出来ると昔から言われます。


餅を笹の葉に包んだチマキと言う食べ物がありますが、諸説によれば昔は餅やもち米を笹の葉包んだのでは無く、
チガヤで包んだ食べ物をチマキと呼んでいました。
特徴・形態
チガヤの特徴として草丈は30センチから80センチほどで茎は直立して成長します。茎は円柱形でやや細く、茎にある節に
毛があります。

根茎は長く地中を匍匐するように横に伸びます。根茎も茎と同じく白色円筒形で節があります。
根茎は折れにくく、細長い根茎を伸ばして成長します。

葉は線形で葉の長さは20センチから50センチ、葉の幅は7ミリから10ミリほどあります。
葉は硬質で葉の表面にざらつきのある扁平です。葉先が鋭く尖る鋭尖頭で茎の近くは幅があるが少しずつ細くなります。

花期は5月から6月頃でそう生した葉の間から茎を出し、その茎の先に円柱状の直立した花穂をつけます。
この茎の出る葉は互生しており、茎を包むように鞘になっています。鞘には毛が多いです。

花穂は初めは褐色の血のような色をした雄しべがよく目立ちますが、時間とともに長い白毛が密生します。
花序は長さ10センチから20センチ程、花序の幅は1センチぐらいです。

昔はこの花穂を「茅花(ツバナ)」と言い、舐めると甘味があるので昔の子供のおやつとして食されました。
根茎も冬場には糖分を多く含みます。(チガヤはサトウキビの近縁にあたる植物と言われます。)
成分
茅の根茎に含まれる成分はトリテルペノイドのシリンドリン、アルンドイン、フェルノール、シミアレノール、クエン酸、シュウ酸、
リンゴ酸などが含まれています。
使用部位
チガヤの根茎(生薬名 茅根 ぼうこん ボウコン)
採取時期と管理・保存方法
茅根の採取時期は10月から11月に根茎を掘り出して細い根、鱗片を取り除いてから水洗いをして風通しが良い場所で
日干し乾燥します。
薬効、服用方法
茅根を服用すると消炎、利尿、止血作用があり、水腫、膀胱炎、血尿、黄疸、急性腎炎、慢性腎炎などに効果があります。

茅根を煎じる場合は
茅根約5グラムから10グラムを水600ccから800ccの中に入れて弱火で15分から20分程煎じて、煎じ終われば薬草は
取り除き、1日数回に分けて服用します。

茅根と他の薬草(艾葉、ゲンノショウコ、重薬など)と一緒に煎じて服用しても良いです。


茅根の粉末の場合は
茅根の粉末を1回量約1グラム〜2グラムを目安に水またはぬるま湯で1日数回服用するか、お湯に混ぜて服用してください。
(小さじ半分ぐらいが約1グラムです。)

「粉末が咽喉に引っかかる」、「味が苦手」などの支障がある場合はオブラードに包んで服用しても結構です。
茅根と他の生薬との組み合わせ
茅根+艾葉・・・茅根と艾葉を組み合わせることにより利尿、止血作用が強まり出血短縮、血尿などの症状の緩和などが
期待できます。

茅根+蒲黄・・・茅根と蒲黄を組み合わせることにより止血、血尿などの症状の緩和などが期待できます。

茅根+茵陳蒿・・・茅根と茵陳蒿を組み合わせることにより消炎、利尿、黄疸などの症状の緩和などが期待できます。

茅根+キササゲ・・・茅根とキササゲを組み合わせることにより消炎、利尿、慢性腎炎などの症状の緩和などが期待できます。
茅根を含む漢方処方
十灰散

茅根湯

など 
参考資料
神農本草経ー中品
一名主労傷虚羸、補中益気、除オ(※1)血、血閉、寒熱、利小便。其苗、主下水。一名蘭根、一名茄根。生山谷、田野。
その他
特に無し
参考文献
北驫ルー原色牧野和漢薬草大図鑑
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