春の薬湯
石菖蒲の根湯 
<薬湯 石菖蒲の根>
石菖蒲(しょうぶ)はショウブ属ーさといも科(昔はさといも科と言われていたが、近年はしょうぶ科に属する
植物と言われる。)に属する植物で、分布地として北海道から九州の日本各地や朝鮮半島から中国大陸の
東アジアからインドの池や沼地、浅瀬の溝などに群生しながら生える多年草の植物です。

古代中国では菖蒲には邪気を払う魔除けの力があると信じられており、端午節に枕の下に菖蒲を敷いたり、
菖蒲酒を飲んだり、ヨモギで作った人形を飾ったりしました。

5月5日の端午の節句の前後に昔行なっていた菖蒲にまつわる風習があります。
@ 軒菖蒲(のきしょうぶ)・・・5月4日の夜に菖蒲やヨモギを束にして玄関の軒につるし、5月5日の朝に
取り除きました。
これは家に邪気や災厄が入り込むのを防いだり、火事よけの為に行いました。

A 菖蒲枕・・・5月4日の夜に菖蒲を枕や寝床の下に敷いて、翌朝に菖蒲湯として使用する。
菖蒲を枕と入浴剤として使用して無病息災祈りました。

B 菖蒲湯・・・菖蒲枕に使用した菖蒲を熱めの湯に入れて入浴します。
入浴することにより穢れや厄を落として身を清めます。

C 菖蒲酒・・・菖蒲の根茎を刻んで、お酒に入れて飲みます。根茎が無ければ葉でも代用されていました。
お酒の力と菖蒲の力で体内に居座っている邪気や病魔を退治する作用があると言われます。

万葉集に菖蒲を題材に詠んだ歌が12種ほどあり、菖蒲(あやめぐさ)の名で呼ばれ、霍公鳥(ほととぎす)と
一緒に詠み込まれている歌が多いです。
霍公鳥 雖待不来喧 蒲草 玉尓貫日乎 未遠美香」・・・詠み人 大伴家持
保等登藝須 伊等布登伎奈之 安夜賣具左 加豆良尓勢武日 許由奈伎和多礼」・・・詠み人 田辺福麻呂

ショウブは勝負、尚武(武道を大切に想う気持ち)と同じ呼び方や葉の形が剣に似ているので、5月5日の
端午の節句に気を追い払う行事として菖蒲湯に浸かる風習があります。
菖蒲全体から精油成分が出て、良い香りがしますが、血行促進や保湿効果などの薬効がある精油成分が
多く含まれているのは根茎です。

俳句の世界では菖蒲は夏の季語です。

余談・・・花札の5月は菖蒲(あやめ)です。10点札(種)が「菖蒲に八橋」、5点札(短冊)が「菖蒲に短冊」、
1点札(カス)が「菖蒲のカス」です。
10点札の「菖蒲に八橋」の花は「菖蒲、文目、綾目(アヤメ)」または「杜若、燕子花(カキツバタ)」
または「花菖蒲(ハナショウブ)」のどちらかと思います。(多分ですが「杜若(カキツバタ)」で良いかと思います。
花札では「アヤメ」で絵柄は「カキツバタ」?バラバラですね。)

余談は続きますが、10点札の「菖蒲に八橋」の「八橋」は「三河(今のの愛知県)の八橋」を指します。
ここは昔からカキツバタの名勝地で、在原業平がここで咲いていたカキツバタを詠んだ和歌
からころも きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる たびをしぞおもふ」が有名です。

アヤメやハナショウブやカキツバタは菖蒲と同じ植物と考えている人もいますが、アヤメやハナショウブ、
カキツバタはアヤメ科ーアヤメ属に属する植物で、菖蒲はショウブ科ーショウブ属に属する植物ですので
全く別の植物と思ってください。

菖蒲についての詳しい内容は「生薬ー薬草ー菖蒲」をご覧になってください。
<薬効>
菖蒲には精油成分のアサロンやオイゲノール、メチルオイゲノールなどが含まれています。

菖蒲に含まれる精油成分には保温効果、鎮静効果があり、血行を促進させて体を温め、肩こり、神経痛などの痛みを
緩和させます。他に菖蒲の良い香りが気持ちをリラックスさせます。

精油成分は菖蒲の茎葉などの地上部より根茎などの地下部のほうが多く含まれており、昔は根茎を使用して
おりましたが、近年は地上部を使用する事が多いです。
<使用方法>
石菖蒲の根茎30グラムを布袋に入れます。布袋に入れた菖蒲をそのまま浴槽に入れるか、やかんかお鍋に布袋と
水を入れ約10分程煮出し、煮出し終われば布袋ごと浴槽に入れて下さい。
(入浴中に布袋を揉むと成分がよく出ます。)

浴槽に入れる薬湯の他に部分湯と言う方法があり部分湯の代表が足湯と手湯です。

足湯は煮出した薬草を約40℃(やや熱め)に冷まし、風呂桶などに薬湯を入れ、その中に両足を入れ、
冷めたら差し湯をしながら約20分程入り、額に汗が出てくれば効果が現れてきます。

手湯は足湯と同じく約40℃ほどの薬湯に約20分程手を浸しながらマッサージを施し、手が温まってくれば
効果が現れてきます。
<注意事項>
@本品は天然物(生薬)で性質上吸湿しやすいものがあります。
そのため保存には十分ご注意ください。保存が悪いとカビ、虫害等の発生する原因になることがあります。

A開封後は直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい場所に保管してください。

B本品には品質保持の目的で脱酸素剤を入れておりますので、一緒に煎じたり、食べたりしないようにご注意ください。

C幼児の手の届かない所に保管してください。

D他に容器に入れ替えないで下さい。(誤用の原因になったり品質が変わる場合があります。)


薬草の入浴剤の注意点
@・・・お風呂から出る時には必ず薬草のエキスをシャワーで洗い流して下さい。
薬草のエキスが身体に付着したままにしておくと人によって症状がひどくなる場合があります。

A・・・当日使った薬草の湯は翌日には使用しないでください。
当日使った入浴剤は必ず入浴後に処分してください。

B・・・お風呂の残り湯を洗濯機で使用する場合は衣類に薬草の色が付着する場合がありますので注意してください。
 
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