われもこう ワレモコウ 地楡 ちゆ チユ
和名、植物名
吾亦紅、吾木香、我吾紅、我毛紅 割木瓜 我毛香 割れ木爪(帽額) われもこう ワレモコウ
生薬名
地楡 ちゆ チユ
学名
Sanguisorba officinalis
分布
われもこう(吾亦紅、吾木香、我木香、我吾紅、我毛紅、我毛香、ウマズイカ、ダンゴバナ)はバラ科ーワレモコウ属に
属する植物で日本各地と朝鮮半島から中国、ロシア、ヨーロッパなどのユーラシア大陸に広く分布している植物で、
主に山地の草原や堤防などに生える多年草の植物です

ワレモコウは秋の野草として有名で、生け花などに使われます。
秋の野草としては有名ですが、秋の七草には入っておらず、万葉集にも載っておりません。

ワレモコウの根茎は生薬として使われ、生薬名を「地楡(ちゆ)」と言います。
ヨーロッパでは「グレートバーネット」と呼ばれます。

地楡は神農本草経の中薬(中品)に記載されており、内容として
「味苦微寒、生山谷、主婦人乳痙痛、七傷、帯下病、止痛、除悪肉、止汗、療金創。」
「味は苦いが、乳腺炎、おりもの、ポリープ、止血剤として用いられます。」と記載されています。

ワレモコウの名前の由来として平安時代に書かれた日本最古の百科事典と言われる「和名抄(わみょうしょう)」に
和名として「阿夜女太無(あやのたむ)」、一名「衣比須弥(えびすね)」と記載されており、同じく平安時代には
「割れ木爪(帽額=モコウ)(われもこう)」と呼ばれていましたが、時代が下るに従って「吾亦紅」、「吾木香」、「我吾紅」、
「我毛紅」、「割木瓜」、「我毛香」と漢字が変更されました。

ワレモコウの漢名は「地楡(ちゆ)」と言います。

時代が下って江戸時代後期の書物の「本草綱目啓蒙(ほんぞうこうもくけいもう)」には
「ワレモコウと呼ばれる植物は多々あり、「ジャコウソウ」、「オケラ」、「カルカヤ」などがワレモコウと呼ばれる。」
と書かれており、上記の植物は芳香がある植物で、ワレモコウの漢名の「吾木香」、「我木香」が当てはまると思います。
(吾木香、我木香の木香はインド産の香木を指します。吾木香、我木香の「吾」、「我」は我が国「日本」を指していると
言われ、我が国の木香と言う意味があります。)

ただ、ここで取り上げたワレモコウには芳香は無く、何故この植物がワレモコウと呼ばれるかは謎であります。
(一説によると根の形が木香に似ているからの説もあります。)

ワレモコウの花は歌の花ことばとして幾つか詠まれています。
「吾亦紅 さし出て花の つもりかな」・・・小林 一茶

「吾木香 すすきかるかや 秋草の さびしききはみ 君におくらむ」・・・若山 牧水

「吾も亦(また) 紅(くれない)なりと ひそやかに」・・・高浜 虚子

余談・・・時代劇のテレビや映画によく登場する柳生宗矩や柳生十兵衛などの柳生の家紋は「地楡(われもこう)に雀」
と言う大変珍しい家紋を用いています。
(ちなみに「子連れ狼」に出てくる柳生烈堂、裏柳生は実在しません。)
特徴・形態
われもこうの特徴として全体が無毛で茎は直立しており高さは30センチメートルから1メートルぐらいの長さになり、
茎は上部で枝分かれをして枝の先に花穂をつけます。

花は7月〜10月にかけて茎の先が上部より順番に枝分かれをして枝の先に花を咲かせます。
花序の長さは1センチ〜2センチで、花穂は楕円形又は円筒状で、花には花弁は無く、がく片4片は暗くて濃い紫紅色
をしており、雌しべが4本あり、雌しべはがく片より短いです。
吾木香の花は小さな花の集合体です。

葉は互生して奇数羽状複葉です。葉は長い葉柄で形は長楕円形か卵状楕円形をしており、葉の長さは3センチから
6センチぐらいで葉の幅は1センチから2センチぐらいです。葉の縁に鋸歯があり、葉の数は7枚〜13枚です。

根茎は横に伸びて硬く太くて湾曲しているか、横臥しております。この根茎の形がインド産の香木に似ているので
木香の文字が付いたと言われます。

春先の出て間もない若い葉をおひたしにして食する事も出来ます。

参考・・・ワレモコウの類似した植物で小花の吾亦紅(コバナノワレモコウ)や長穂の赤吾亦紅(ナガボノアカワレモコウ)
があり、2種類共に花序は2センチ〜5センチと細長く、花が垂れるのが特徴と言えます。

余談・・・10月28日の誕生花は「ワレモコウ」で、花言葉は「愛慕」です。
吾木香の花は小さな花の集合体で、小さな花が頬を寄せ合うように集まった姿が愛らしく慕う様子が見られるので
「愛慕」と名付けられたかもしれません。
成分
地楡の成分として約20%のタンニン、サポニン配糖体のサンギソルビンとサポゲニンのサンギルソルビケニン、
チユグルコサイドT、Uやポモール酸、ビタミンAなどが含まれております。
使用部位
吾木香の根茎(生薬名 地楡 ちゆ チユ)
採取時期と管理・保存方法
吾木香の根茎の採取時期ですが、10月〜11月の初冬に根茎を掘りとって、根茎に付いているヒゲ根を取り除きから
水洗いを行い、細根が取れるようになる約3週間ほど日干しをして乾燥させます。
薬効、服用方法
地楡には消炎抗菌作用があり、地楡を煎じて服用すると嘔吐や下痢、腸炎などを鎮める作用があります。
他に止血作用もあり、月経過多、血便、吐血などに効果があると言われます。


地楡を煎じる場合は
桃仁約5グラムから10グラムを水600ccから800ccの中に入れて弱火で15分から20分程煎じて、煎じ終われば薬草は
取り除き、1日数回に分けて服用します。

地楡と他の薬草(ヨクイニン、艾葉、ゲンノショウコなど)と一緒に煎じて服用しても良いです。


地楡の粉末の場合は
地楡の粉末を1回量約1グラム〜2グラムを目安に水またはぬるま湯で1日数回服用するか、お湯に混ぜて服用してください。
(小さじ半分ぐらいが約1グラムです。)

地楡の粉末を単独で服用しても良いが、牛乳、野菜ジュース、スープなどに混ぜて服用しても良いですし、小麦粉と混ぜて
料理に使用されても結構です。

「粉末が咽喉に引っかかる」、「味が苦手」などの支障がある場合はオブラードに包んで服用しても結構です。

地楡と他の生薬との組み合わせ
地楡+艾葉・・・地楡と艾葉を組み合わせることにより止血効果が高まります。

地楡+槐花・・・地楡と槐花を組み合わせることにより止血効果が高まります。
地楡を含む漢方処方
槐角丸(和剤局方)

清肺湯

半夏地楡湯
参考資料
神農本草経ー中品
「味苦微寒、生山谷、主婦人乳痙痛、七傷、帯下病、止痛、除悪肉、止汗、療金創。」
その他
特に無し
参考文献
北驫ルー原色牧野和漢薬草大図鑑
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